コロナ禍において、BtoC物販分野のEC市場は急速に成長しました。この状況に伴い、荷主企業の中には配送量の変化を迫られ、物流体制の見直しを急ぐ企業も増えています。その中で、物流を自社で運営するか、外部に委託するかという問題が注目されています。
SCM/3PL/物流のお悩みを解決したい方へ
プロレド・パートナーズでは、現状把握から施策の立案・実行まで一貫したサポートが可能となります。SCM改善について皆様からのご相談をお待ちしております。
このコラムでは、物流アウトソーシングについて詳しく解説していきますので、ご参考いただければと思います。
物流アウトソーシングとは?
物流アウトソーシングとは、「輸配送業務」「倉庫業務」といった物流業務を外部委託することです。
具体的には以下があります
1. 輸配送業務
①チャーターのトラック輸送
②宅配便や路線便などのネットワーク輸送
2. 倉庫業務
①入出荷業務
②在庫管理(棚卸)
③返品処理
④その他付帯作業
上記1-②は全国的なネットワークが必要となりますので、自社で運営するのは現実的ではなりませんが、それ以外の業務については自社で運営とアウトソーシングの検討が可能です。
物流アウトソーシングの方法
物流アウトソーシングを活用する方法は「一部委託」と「包括的な委託」があります。
一部だけ業務委託する方法
一部委託は、輸配送業務と倉庫業務の内の一部を外部へ委託し、物流全体の管理は自社で実施する方法です。例えば、自社で倉庫業務を行い、輸配送業務のトラック輸送を物流会社へ委託する方法などがあります。
一部委託を選択する企業の特徴としては以下の様なものがあります。
- 物流を自社の強みとして維持したい
- 物流子会社がある
- 倉庫やトラックなどのアセットを既に保有している
包括的に業務委託する方法
包括的な委託とは、物流業務全般、そしてその管理までを一括して外部に委託する方法です。これは、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)として知られ、荷主企業に対して物流改革を提案し、物流業務全般を包括的に引き受けるサービスを指します。
3PLにつきましては以下のページにて詳しく記載しております。
包括的な委託により、荷主企業は自社のコアビジネスに重点を置くことができます。また、3PLプロバイダーの役割には物流プロセスの改善も含まれており、これによって物流の効率化が期待されます。
物流アウトソーシングのメリット
物流アウトソーシングするにあたってのメリットを解説します。
主なメリットは以下のとおりです。
- 専門知識と経験の利用
- コスト削減
- 自社リソースの有効活用
それぞれ詳しく解説します。
1. 専門知識と経験の利用
物流のアウトソーシング先である物流企業には、物流に関する専門的なノウハウと知識が蓄積されています。そのため自社に適した物流の構築を物流戦略から倉庫内の作業レベルまで一貫して改善が可能となります。
2. コスト削減
物流アウトソーシングにより期待したいポイントがコスト削減です。自社で物流体制を構築する場合、人件費や車両費が固定費用となってしまうため、繁閑の物流ボリュームの差を吸収できず、閑散期には想像以上のコストが発生してしまいます。アウトソーシングの場合では、物流企業からの請求を変動費化することで、繁閑のコスト調整ができます。
3. 自社リソースの有効活用
物流を自社で行うには膨大なリソース(キャッシュ、人材、設備等)が必要となります。これに対して外部委託を選択することで、自社のビジネスへリソースを集中できる利点があります。更に、物流企業の全国の拠点を利用できるなど、自社で確保できる以上のリソースが活用できます。
物流アウトソーシングのデメリット
物流アウトソーシングにはメリットだけではなく、デメリットもあります。
主なデメリットは以下のとおりです。
- 依存リスク
- 自社にノウハウが蓄積しない
- 物流戦略の実行が難しくなる
それではそれぞれ解説します。
1. 依存リスク
包括的に物流アウトソーシングを利用した際、業務を任せっきりになってしまって、ブラックボックス化してしまう依存リスクが考えられます。
ブラックボックス化とは、業務遂行のプロセスがわからなくなることです。
例えば、「作業の遅れがどこで発生しているのかわからない」「何かトラブルがあっても情報が掴めない」などがあります。
委託している業務作業の見える化、進捗などの情報共有が疎かになるとブラックボックス化し、トラブルがあった場合には対応が遅れることも考えられます。
2. 自社にノウハウが蓄積しない
物流業務を委託する場合、自社社員が物流の実務に触れる機会が減少することがあります。これにより、物流管理からも離れ、物流に関する知識やノウハウの蓄積が難しくなるデメリットが生じる可能性があります。
3. 物流戦略の実行が難しくなる
荷主企業においては自社のビジネスや外部環境の変化により、物流戦略を見直す必要が発生します。上述の通り物流がブラックボックス化し、更に社内にノウハウや経験が蓄積されていなければ、戦略立案が難しくなります。この点は3PLに期待したいところですが、対応レベルにも差があるのが現実です。
委託先選定のポイント
物流アウトソーシングを利用するにあたり、物流企業の委託先選定にはいくつかのポイントがあります。
選び方のポイントとしては、以下の通りです。
- 自社の物流戦略を可視化する
- 3PLへ、実物流以外に求めることを明確にする
- 継続的な課題解決への取組みに合意する
それぞれ解説していきます。
1. 自社の物流戦略を可視化する
物流業者を選ぶポイントとして、自社での物流戦略を可視化しておくことが必要です。
物流戦略の例として以下のようなものがあります。
- 配送リードタイムの削減
- DX推進による倉庫作業の効率化
- 保管効率の改善
自社の物流戦略を委託先の物流企業に共有し、現状との乖離を可視化することで、双方で課題が確認できます。そして認識した課題について、改善を進めていくことができます。
2. 3PLへ、実物流以外に求めることを明確にする
物流アウトソーシングを利用する場合、物流実務以外に求めるものを提示する必要があります。
具体的には、以下のような物流課題に対する取組みに対する協力です。
- 人手不足
- 環境問題への配慮
- 生産性への取組み
自社で取り組んでいる上記のような物流課題への取組みも物流企業の協力無くしては改善することができません。
3. 継続的な課題解決への取組みに合意する
上記の1と2に基づいて、物流企業とは継続的な課題解決の取組みについて、契約時に合意しておきます。通常の業務に加えて、課題解決に向けたリソースを割り当てることが必要となるため、継続的な改善に協力してくれる物流企業を選定することが重要です。
まとめ
物流アウトソーシングは、「輸配送業務」「倉庫業務」といった物流業務を外部の物流企業へ委託することです。
物流アウトソーシングの利用方法には一部委託する方法と、包括的に委託する方法の2通りあり、自社の物流戦略によって選択します。
リソースの有効活用、コスト削減といったメリット、委託先への過度の依存リスクなどのデメリットもありますので、それぞれ理解しておきましょう。
また、委託先企業とは、自社の物流課題を継続的に解決してくれることを、契約時にしっかりと合意する必要があります。 弊社では、委託先企業の選定から既存の委託先企業との改善支援など、物流アウトソーシングに関する支援を実施しています。物流アウトソーシングに関する疑問や課題について、是非、お気軽に弊社へお問い合わせください。
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