環境

RE100 とは?取組みや加盟できる条件を簡単に解説

「RE100(あーるいーひゃく)」という言葉をご存じでしょうか?「RE100」とは、企業が事業活動で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達するために具体的な目標を設定し、実行すること、またそれを行う企業連合のことです。

今回は、「RE100」の定義や導入方法、加盟するための条件について解説していきます。企業の取り組み実例に関しても説明しますので、再生可能エネルギーの導入を検討されている企業様には特に役立つ情報です。ぜひ最後までお読みいただき、今後ますます重要となる環境経営への取り組みに向けての参考としていただければ幸いです。

RE100とは

まずは、RE100の定義と取り組み内容について説明します。

RE100とは何?

RE100とは「Renewable Energy 100%」の略で、具体的には、企業が事業活動全体で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギー(太陽光・水力・風力など)で調達するために、具体的な目標を設定し、実行することです。またそれを実行する企業連合の総称でもあります。

国際環境NGO「The Climate Group(TCG)」が2014年に創設した企業連合で、日本では「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」が、TCGの地域パートナーとして日本企業の加盟窓口となっています。

再生可能エネルギーを導入するためには?

事業活動において、再生可能エネルギーの使用を100%にすることは容易ではありません。取り組む際には、主に下記の3つの手法の組み合わせが考えられます。

  1. 電力会社から再エネ電力の調達
  2. 環境価値証書の購入
  3. 自社で再エネ発電設備を導入

それぞれどのような手法であるか説明します。

電力会社から再エネ電力の調達

発電事業者・小売電気事業者と再生可能エネルギーに紐づけされた電力購入契約を結ぶことです。一般に、再生可能エネルギー由来の電力は火力発電等の化石燃料を使用した電力と比較して発電コストが高額になるため、単純に電気料金が上乗せされ、価格が高くなります。そのため、製造業や実店舗中心の小売業など電気使用量の多い業界では営業利益を圧迫してしまいます。また、発電事業者・小売電気事業者の再生可能エネルギーに紐づけされた電力供給量には限りがあるため、今後の需要増により価格高騰も予想されています。

環境価値証書の購入

事業者が企業活動や植林によって削減あるいは吸収したCO2量を証券化し、直接売買や市場取引により売買することができるようにしたものを「環境価値証書」と言います。現在、日本で購入できる環境価値証書としては下記のものがあります。

  • グリーン電力証書…一般財団法人日本品質保証機構(JQA)が認証する事業者が販売
  • 非化石証書…日本卸電力取引所(JEPX)にて市場取引
  • J-クレジット…国(経済産業省・環境省・農林水産省)が認証する事業者が販売

環境価値証書を購入することにより、自社が排出したCO2量を、目標を超えて削減した他社の排出量に割り当てる、いわゆる「カーボンオフセット」が可能になります。ただし、環境価値証書の購入は目標達成のための過渡的な手段であり、RE100の本来の趣旨は再生可能エネルギー発電設備を拡大していくことにあります。

自社で再エネ発電設備を導入

太陽光発電設備を自社建物の屋根や空地に設置し、そこから得られる電力を自家消費することは非常に有効です。ただし、太陽光発電は日照や時間帯による発電量のバラつきが大きく、それをカバーするための蓄電池の技術も実用に耐えるレベルまで達していないのが現実です。

太陽光発電設備および蓄電池の調達コストも年々下がっているとはいえ、企業活動のすべてをまかなうためには設備投資は莫大となり、現実的ではありません。この手法単独での達成は非常に難しく、現実的には上記で説明した2つの手法を組み合わせる必要があります。

RE100ができた背景

RE100はなぜ創出されたのでしょうか。理由の説明の前に、国際的に見た日本の環境問題の指標を説明します。

「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」では、地球温暖化対策として各国が温室効果ガス(CO2)削減目標を策定することが求められています。

1997年の「京都議定書」では、先進国が2008年から2012年の間に温室効果ガスを1990年比で約5%削減することが合意され、日本では6%の削減に成功しました。

2015年の「パリ協定」では、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持し1.5℃に抑える努力を追求するため、さらに厳しい目標が各国に課せられています。

日本ではCO2排出量を2030年に2013年と比較して46%削減することが2021年10月に閣議決定されており、2030年に向けてさらなる削減対策が求められているところです。

RE100の意図としては、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの必要性を電力の需要家側から政府や発電事業者に訴えかけることにあります。供給側から与えられるエネルギーに依存するのではなく、主体性をもって再生可能エネルギーを選択するということです。

SBT(Science Based Targets)やSDGs(Sustainable Development Goals)のような環境イニシアチブと違い、再生可能エネルギーの利用に特化した指標であることが特徴です。また、同じ「The Climate Group(TCG)」が認証する「EP100」は、エネルギー効率の高い技術や取り組みの導入を通じて、事業のエネルギー効率を倍増することを目標とし、「RE100」と併せての加盟が推奨されています。

RE100へ加盟するためには

RE100への加盟状況と加盟条件について説明します。

RE100の加盟状況

RE100には2022年8月現在で23カ国から376社の参加があり、国別参加企業数では、⽇本はアメリカ97社に次ぐ72社が参加しています。参加企業のなかにはアップル・マイクロソフト・グーグルなどのIT系企業や、ネスレ・イケア・スターバックスコーヒーなどの小売企業など、世界的な企業が多数あります。

消費エネルギーが膨大である大企業は、率先して再生可能エネルギー利用の姿勢を打ち出すことによってESG投資において投資家や金融機関からの評価を得られ、結果として企業価値を高めることにつながります。企業の存続性の観点からも、再生可能エネルギーの導入は避けては通れない道となりつつあります。

RE100へ加盟するためには?

RE100への参加には下記の要件に該当する必要があり、「The Climate Group(TCG)」の加盟審査があります。日本では「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」が、TCGの地域パートナーとして日本企業の加盟窓口となっています。

  1. 消費電力量が年間100GWh以上であること(※日本企業は50GWh以上に緩和)
  2. 自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2及び1の電力消費)の100%再生エネ化に向け、期限を切った目標を設定し公表すること。
  3. グループ全体での参加及び再エネ化にコミットすること(※資本比率50%以上の子会社全てがRE100の参加対象となる)

RE100の加盟社は、再生可能エネルギー100%への転換期限を設けた目標達成計画を立て、事務局の承認を受ける必要があります。また、RE100の要件を満たさない企業向けに、「再エネ100宣言 RE Action」がございます。「再エネ100宣言 RE Action」は、企業・自治体・教育機関・医療機関等の団体が使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示し、再エネの利用を促進する新たな枠組みです。プロレド・パートナーズも2022年1月に加盟をしています。

RE100達成に向けた国内の取り組み事例

国内のRE100加盟企業の取り組み事例について紹介します。

イオン株式会社の取り組み事例

国内電力消費のおよそ1%を占めるイオンでは、2040年度には事業運営に必要な電力の100%を再⽣可能エネルギーに切り替える目標を立てています。その過程として、2025年までに国内約160モールで使用する電力をテナント使用分も含めてすべて再生可能エネルギーに転換する予定です。それを実現させる手段として、電力小売事業者と再エネ供給契約を結ぶとともに、各施設でのPPA(太陽光発電の自家消費電力販売契約)の導入を進めています。興味深い取り組みとしては、お客様の自宅に設置された太陽光発電設備の発電余剰分を電気自動車のバッテリーに蓄え、ショッピングモールでの買い物中に施設に給電すると買い物ポイントがもらえる、という取り組みです。一般消費者との環境理念の共有にもなり、企業イメージを高める狙いもあります。

大和ハウス工業株式会社の取り組み事例

建設業国内売り上げ第一位の大和ハウスは、建設・住宅業界で「RE100」「EP100」の両方に加盟した世界初の企業です。大和ハウスでは太陽光・水力・風力を利用した再エネ発電事業に長年取り組んでおり、2030年までに自社の使用電力量を上回る再生可能エネルギーの供給(売電)を行い、2040年に自社の使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなう計画を立てています。

城南信用金庫の取り組み事例

城南信用金庫は国内金融機関として初めてRE100に加盟しました。全電力の約98%を占める本支店等の所有物件の電力全てを、東京ガスを通じて購入したバイオマス発電再生可能エネルギーに切り替えるとともに、残り約2%の賃貸物件等の電力についてもJ-クレジットを購入しCO2をオフセットすることで、実質的に100%再生可能エネルギーによる事業活動を行うことに成功し、国内企業としては初めてRE100目標を2018年に達成しています。

まとめ

今回は「RE100」についての概要と参加方法、参加企業の取り組み事例について解説してきました。企業の環境経営への取り組みが市場の評価となり、企業価値に直結する時代です。さらに、環境に配慮した商品の方が、少々価格は高くても消費者からも選ばれる「エシカル消費」の流れも高まっています。「RE100」への参加は対外に向けて絶好のPRになるばかりでなく、社内で明確な目標を設定することによるモチベーションアップとコーポレートガバナンスの強化をもたらします。

現在、環境に関するご相談につきましてはプロレド・パートナーズのグループ会社であるナレッジリーンにて対応させていただいております。ナレッジリーンでは、脱炭素経営やカーボンニュートラル戦略の策定、環境分野の調査業務、計画の立案等、企業の環境経営全般に対する専門的なコンサルティング支援を行っています。環境に関する取り組みでお悩みの際は、ナレッジリーンまでお気軽にご相談ください。


プロレド・パートナーズグループ企業のナレッジリーンでは環境分野の調査業務や計画策定、脱炭素経営・カーボンニュートラル戦略策定のサポートが可能です。
環境分野でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

関連記事

TOP